50代独身無職になりました

50代独身無職。最愛の父の死後、おひとり様の日常。

突然の再開

無職の日曜日はヒマだ。

朝、猫の世話をしてひとしきり遊んだあと、
食材を買いに行き昼食を作って食べる。

洗濯や庭の手入れや雑草取りなど、
気付いたら色々やることはある。

けれど掃除も毎日するわけじゃあない。

猫が暴れまわるのを監視しつつ、
朝の9時頃からはほぼフリー状態だ。


ヒマだからわたしは
病気を創り出してしまったのか。

なにか目的に向かってやることが
あった方が人生の物語として充実するし。

両親が相次いで天国に還ったことに
後悔や罪悪感で心をいっぱいにすることで、
ヒマという穴を埋めるゲームを楽しんでる。


...そんな思考ばかりしていた時
ピンポーン☆と玄関のチャイムが鳴った。

日曜日、昼すぎのチャイムは警戒する。

なぜなら古い戸建ての我が家に来るのは
外壁の営業や屋根の悪徳業者だったり、
その他もろもろの確率が高いからだ。

玄関チャイムに防犯カメラ付きの家なら
良いけど、シンプルなチャイムだけの古民家。

なので、尋ね人は部屋から耳を澄ませて監視し、
大丈夫と判断したら出ることにしている。


訪ねて来たのだれだ?
しょうもない悪徳営業か?


と、部屋から外を確認すると、
見たいことのもない軽自動車が
家の前で停まってた。

言葉で表すなら友人が訪ねて来た感じ。

でも、あの車に乗ってる友人、知人を知らない。

玄関のすりガラスから見える人影は
どう見ても嫌な営業の感じはなく、
かといって近隣の人や親戚でもなさそうだ。

はーい。と言って玄関を開けた瞬間
「おでけけ!?」と言いながら、
一人の女性が立っていた。



えっ、だれ!?


数秒固まったのちーーー
高校時代の親友だと気づいた。


うわああああ!!
えーどうしたのA美!?

高校から友だちになったA美。
わたしはA美が大好きだった。

可愛くて性格も良くて。
同級生は「A美ちゃんみたいになりたい」
って言ってたくらい、可愛かった。

短大から社会人になってからも、
ドライブしながら色々な話をした。

そのうちわたしの方が先に結婚して
地元を離れて暮らし、A美とも
なかなか逢えなくなってしまった。

A美も30手前で結婚して嫁ぎ、
子どもも2人生まれた。

わたしはその時はすでに離婚をして、
色々あり両親のいる地元に帰ってきた。

A美のしあわせそうな輝き✨
親友のしあわせな姿は嬉しい。

けれど、その当時のわたしの目に
A美のしあわせな輝きは眩しすぎた。

だから何も言わず
すっと距離を取った。

自分と比べても仕方ないと頭では理解する。

けれど自分の環境と違い過ぎて、みじめさで
いっぱいなわたしはA美に嫉妬してしまう。

そんな醜い自分を、情けないわたしを、
これ以上見る勇気はなかった。

A美も子育てで精一杯だったのだろう。
連絡を取り合わなくなって、10年は過ぎた。

だけど、ずっと大好きだった。

そんなA美が突然、訪ねて来たのだ。
わたしは嬉しくて仕方がない。

高校生になった末娘を車に乗せて、
実家に行く途中だと言った。


数年前、高校の同窓会があったけれど
自分の惨めさで参加しなかったのだ。

その時、A美とA美の仲良しグループが
おでけけはどうしたの?と話題になったが

誰もわたしの行方を知らずに
どうかもわからずだったので、
思い切って訪ねて来てくれたらしい。

A美はおととし離婚したのだと言い、
これまたビックリした。

わたしの中のA美は
しあわせな輝きそのものだったから。

今でもなんやかんやありながらも、
家族一緒にいるのだろうと思ってたから。


芯の強いA美が離婚するくらいだから、
きっと色んなことがあったんだろう。

わたしもバツイチの痛みを経験したので、
余計なことは言いたくなかった。

辛い時は離婚したなんて言えず、
誰かに逢いたいとも思わないもの。


大好きだったA美。
人生、ほんとうにいろいろ。

LINEだけ交換して、また連絡する!
今度逢って話をしよう。と言って別れた。


生きていても、逢って触れて
話していないなら死んでいたことと同じ。

死んでいた時間が、突然復活した。

わたしにとってなんという奇跡だろうと、
思わず神さまに投げキッスしたいくらいに。


A美との空白何十年分を
いろいろ話して埋めてみたい。

そしてーーー

何も考えず親の世話になり過ごしてた
高校時代のわたしを褒めたい。

A美と親友になった思い出は
わたしの宝物になっているから。